シーラントはしない方がいい?メリット・デメリットを解説
子どもの虫歯予防法の一つであるシーラントですが、どのようなメリット・デメリットがあるのかご存知でしょうか。
この記事では、シーラントとはどのような治療方法なのか、治療の流れと合わせて解説します。
またシーラントのメリット・デメリットもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
シーラントは子どもの虫歯予防法の一つ
シーラントは、子どもの虫歯予防法の一つです。
歯の表面には小窩裂溝という虫歯ができやすい溝があり、ここにプラスチック樹脂を詰めて、虫歯の原因になり得る歯垢や食べかすが入り込まないようにします。
シーラントは乳歯の奥歯と永久歯の生えたての奥歯にすることが多く、歯の溝が深い場合に特に効果的です。
シーラントは何歳ごろにするのが良い?
シーラントは特に年齢制限はありませんが、4歳〜13歳頃までの子どもに対して行うことが多いです。
年齢によって、シーラント治療を行う歯が以下のように異なります。
- 4~5歳:乳歯
- 6歳:6歳臼歯
- 7~13歳:永久歯
また、原則としてシーラントは初期の虫歯と判断された乳歯や生えたての永久歯に対する治療にのみ、健康保険が適用となります。
虫歯ではない健康的な歯や永久歯歯列でのシーラント治療は病気を治す目的としての治療ではなく、予防治療となるため、健康保険が適用されない自費診療となるため注意しましょう。
シーラントの効果は?
シーラントは4年以上で約60%の虫歯予防効果が認められています。
ただしシーラントは削れたり何かの拍子で剥がれてしまったりすることがあるため、永久的に歯に残るわけではありません。
剥がれや欠けが起きた場合は、再度シーラント処置をしてもらうといいでしょう。
なぜ子どもは虫歯になりやすいのか
シーラントは子どもの虫歯を予防するための治療方法ですが、なぜ子どもは虫歯になりやすいのでしょうか。
子どもが虫歯になりやすい理由としては、以下の5つが挙げられます。
- 乳歯はエナメル質が少ないため
- きちんと歯を磨けていないため
- 食事時間が不規則のため
- ダラダラと間食しているため
ここでは上記5つについてそれぞれ解説します。
乳歯はエナメル質が少ないため
乳歯にはエナメル質が少ないため、虫歯になりやすいとされています。
エナメル質とは、歯の外側を覆っている硬い層のことで、熱いものや冷たいもの、酸性の食品などの刺激から歯を守る役割を持つものです。
このエナメル質に穴が開くことで虫歯が発生するのですが、乳歯のエナメル質は永久歯と比べて半分ほどの厚さしかないため、穴が開きやすくなっています。
一度穴が開いてしまうと酸によって歯が溶け、虫歯がどんどん進行してしまうのです。
そのため乳歯が生え始めたら、定期的に検診を受けたりシーラント治療をしたりするなどの虫歯予防を行いましょう。
きちんと歯を磨けていないため
虫歯ができてしまう原因の一つに、きちんと歯を磨けていないことが挙げられます。
子どもの場合は歯が小さいため歯磨きがしにくく、磨き残しが出やすいです。磨き残しがあると汚れの中で菌が繁殖し、虫歯のリスクが高くなります。
お母さんが丁寧に仕上げ磨きをするために効果的なのが、歯科医院で仕上げ磨きの方法を教えてもらうことです。
子どもが自分で歯を磨けない年齢のうちは、年齢に合った仕上げ磨き方法で虫歯を予防しましょう。
子どもが歯ブラシを自分で持てるようになったら、正しい歯磨きの仕方を教えることも大切です。
周囲の人から虫歯菌が感染するため
子どもの口の中に虫歯菌が発生している原因として、周囲の人からの感染が考えられます。
赤ちゃんの口の中には虫歯の原因となる細菌がいません。
しかし、例えば両親や祖父母のスプーンや箸を使って子どもにご飯を食べさせた際、付着した唾液を介して口内細菌が感染してしまうことがあります。
また口移しをしていなくても、スキンシップや会話をした際に子どもの口の中に唾液が飛んでしまうこともあります。
虫歯菌の感染リスクを少しでも下げるためにも、自分の口内を清潔に保ち、細菌の数を減らす努力も大切です。
食事時間が不規則のため
食事時間が不規則になると、虫歯のリスクが高くなります。
糖分を取るとそれを好む虫歯菌が酸を生成し、その酸によって歯が溶けてしまう脱灰という現象が起きます。
唾液には虫歯菌が出す酸を中和して歯を守る再石灰化という働きがあり、脱灰と再石灰化でバランスを取り合っているのが通常の口腔状態です。
しかし、食事時間が不規則になると、この大切な再石灰化の時間が減少し、脱灰が優位になってしまう場合があります。
これにより歯が徐々に溶け、虫歯が発生しやすくなるのです。
食事時間を決めるのは糖分の摂取量を管理することと同じくらい重要といえます。
ダラダラと間食しているため
時間をかけてダラダラと間食をしているのも、虫歯のリスクを高めてしまいます。
唾液による再石灰化や自浄作用が追いつかなくなってしまうためです。
中でも虫歯になりやすい間食に挙げられるのが、キャラメルやチョコレートなどの粘着性食品です。
間食をゼロにする必要はありませんが、長くても30分以内に食べ終わるように与える量や内容に注意しましょう。
シーラントはしない方がいい?メリット・デメリットをチェック
シーラントのメリット・デメリットを簡単にまとめると以下の通りです。
メリット | デメリット |
・虫歯リスクを減らせる・虫歯予防ができるため歯を削るリスクが低くなる | ・虫歯を完全に防げるわけではない ・シーラントが取れた場合は再度充填が必要になる |
シーラントは虫歯予防のための処置です。
虫歯を予防できるのが大きなメリットですが、シーラントをしたからといって虫歯を完全に防げるわけではありません。
ここではメリット・デメリットをそれぞれ紹介するため、シーラントをすべきか悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
シーラントのメリット
シーラントの大きなメリットが、虫歯リスクを減らせることです。
奥歯の溝には歯垢や食べかすが入り込みやすく、きちんと歯磨きができていないと虫歯の原因となることがあります。
そこでこの溝をシーラント治療によって埋めることで、虫歯の原因となり得る歯垢や食べかすが詰まりにくくなるのです。
乳歯の奥歯は歯磨きがしにくく、虫歯になりやすい歯です。
また、乳歯は虫歯の進行が早く、放置するとあっという間に神経に達してしまうことも少なくないため、虫歯になる前にしっかり予防しましょう。
シーラントのデメリット
シーラントは歯の溝を埋めて虫歯を予防する処置ですが、詰めているプラスチック樹脂が何かの拍子に取れたり欠けたりすることがあります。
取れてしまった場合は再度歯科医院で埋めてもらう必要があるため、その手間が一つのデメリットといえるでしょう。
また、シーラントをしたから虫歯になるリスクがゼロになるわけではありません。
治療後でも丁寧に歯磨きをしていないと虫歯になる可能性があります。
シーラントをした歯は表面から虫歯が発見しづらいため、定期的に歯科医院に通ってチェックしてもらうことも大切です。
シーラント治療の流れ
シーラント治療は以下のような流れで行われます。
- 歯をきれいに掃除する:歯ブラシやロビンソンブラシ、ラバーカップなどの専用器具を用いて、歯の表面や溝の汚れを取り除きます。
- 歯の表面に薬剤を塗る:シーラントが取れにくくするためにリン酸水溶液を歯の表面に塗り、一定時間後に水洗して乾燥させます。
- シーラントを充填する:シーラントを歯の溝に流し込みます。
- シーラントを硬化させる:シーラントを流し込んだ後すぐに20秒ほど、光照射をして硬化させます。
シーラント硬化後、噛み合わせの調整や表面の研磨を行うケースもあります。
シーラント治療は歯1本あたり2〜3分程度で終わるため、小さい子どもでも少ない負担で受けられる予防治療です。
治療後は食事をしても問題ありません。
シーラント治療の注意点
シーラント治療をするにあたっての注意点として以下の4つが挙げられます。
- シーラント治療後も歯磨きなどのケアは継続して行う必要がある
- 硬いものや粘着性のあるものを食べたときに外れることがある
- 定期的に歯科医院を受診する
シーラント治療はプラスチック樹脂を流し込んで固める処置のため、硬いものや粘着性のあるものを食べたときに外れてしまうことがあります。
また、シーラントはすり減っていくため、きちんと予防効果が発揮できる状態かどうかみてもらうためにも、シーラント治療後は定期的に歯科医院を受診しましょう。
どの程度のペースで受診したらよいかはクリニックの医師と相談してみるのがおすすめです。
シーラントは有効な虫歯予防対策の一つですが、シーラントをしたからといって必ず虫歯にならないわけではありません。
虫歯を防ぐためにはシーラントに加えて、毎日の歯磨きやフッ素塗布といったケアも大切です。
まとめ
シーラントはしない方がいいのか?という疑問に対し、シーラントのメリットやデメリット等を解説しました。
シーラントは歯の溝をプラスチック樹脂で埋めることで虫歯を予防できる処置です。
シーラントをしたからといって虫歯を完全に防げるわけではありませんが、虫歯のリスクをグンと下げられます。
初期の虫歯と判断された乳歯や生えたての永久歯に対する治療であれば保険も適用できるため、ぜひシーラントを検討してみてはいかがでしょうか。
千歳鳥山やの歯科では、歯医者に対する不安感や恐怖感を少しでも和らげられるような医院づくりを心掛けています。
口腔育成にも力を入れているため、お子さんの歯を守りたい方はぜひお気軽にお問い合わせください。