小児歯科で使用する麻酔とは?種類やメリット・デメリットを解説
麻酔と一言でいってもさまざまな種類がありますが、小さな子どもに使用されるのを不安に感じている親御さんも多いのではないでしょうか。
小児歯科では、子どもの虫歯の進行状況を確認し、歯を削る治療が必要だと判断した場合に、麻酔を使用して痛みを軽減させます。
子どもが歯医者を嫌う理由の一つとして、麻酔注射を打つときの痛みが挙げられますが、治療の際にともなう痛みを軽減させるためには必要不可欠です。
本記事では、小児歯科で使用する麻酔の種類や、メリット・デメリットなどを詳しく解説していきます。
歯科治療に対する恐怖心が強いお子さまがいる親御さんは、ぜひ最後までご覧になって参考にしてください。
小児歯科で麻酔を使用するタイミング
小児歯科で麻酔を使用するタイミングは、虫歯の進行が進んでいる・抜歯が必要な場合です。
麻酔を使用するそれぞれのタイミングを解説します。
虫歯が進行しているとき
虫歯を削る・歯根の治療を行う際は必ず痛みが生じるため、麻酔を使用する必要があります。
虫歯治療の際に麻酔が必要になる場合は、虫歯がエナメル質、象牙質の境目以上まで進行している時です。
エナメル質までの治療は基本的に痛みを感じませんが、象牙質からは痛みを感じるようになるため、麻酔が必要です。
また、子どもが痛みに対して強い不安をもっている場合も、治療の際に麻酔を使用する可能性があります。
抜歯が必要なとき
乳歯の抜歯を行う際は、麻酔を使用することがあります。
基本的に乳歯は自然と抜け落ちる場合がほとんどですが、不必要な乳歯は、歯並びに悪影響をおよぼすことがあるため、あえて乳歯を抜歯するケースが考えられます。
しかし、乳歯の抜歯には痛みはほとんどなく、短時間での処置が予想される場合には、注射の麻酔は使用せず、表面麻酔の塗り薬で治療をする場合もあります。
小児歯科で使用する麻酔の種類とは
子どもの虫歯治療で使用される麻酔は、大きく分けると局所麻酔法・精神沈静法の2つが存在します。
ここからは、それぞれの麻酔の特徴を詳しく解説していきます。
局所麻酔法
局部麻酔法とは、その名の通り部分的に作用させる麻酔のことを指します。
薬剤の浸透によって痛みをおさえる効果があります。
浸潤麻酔法
浸潤麻酔法は、歯ぐきや粘膜、骨膜などに局所麻酔薬を注射し、その周辺に浸潤させて痛みを麻痺させる方法です。
虫歯治療の痛みの軽減にもっとも使用されています。
注射の痛みで嫌がられることが多いですが、最近では痛みが感じにくい細い針が開発されたり、麻酔薬の温度管理で以前よりも痛みを感じにくくなっています。
表面麻酔法
表面麻酔法は、薬液や軟膏、ゼリーなどの麻酔薬を歯ぐきや粘膜に塗布し、その表面部分の痛みを緩和させる方法です。
注射の針を刺す時や、根のほとんどが吸収された乳歯を抜歯するときなどに使用されます。
精神鎮静法
鼻や点滴などから麻酔薬を投与し、気持ちを落ち着かせる方法を精神鎮静法といいます。
虫歯治療に対する不安や緊張が強い場合、治療中に手足のしびれ・動機・めまい・呼吸困難などが起こることがあります。
精神鎮静法は、子どもが治療に対しての不安が大きい場合に、心身をリラックスさせて痛みを感じにくくさせる効果が期待できます。
しかし、精神鎮静法だけでは痛みを軽減できない場合があるため、その場合は局所麻酔法をうけることが必要になります。
笑気吸入鎮静法
笑気吸入鎮静法は、鼻マスクで笑気ガスを注入するだけで、子どもの治療中の不安感や痛みを和らげ、リラックスした状態で治療に臨める方法です。
また、笑気ガスは吸入を停止すれば速やかに鎮静状態から回復するため、安心して使用することができます。
ただし、お子さまによって効果に差が出ますので、様子を見ながら慎重に治療が行われます。
静脈内鎮静法
血圧や呼吸の状態を見ながら、点滴により鎮静剤を入れることで、眠くなるようなリラックス状態にすることを静脈内鎮静法といいます。
点滴を投与した後は、子どもが眠ったまま治療が行えるため、過度な不安感を与えずにすみます。
静脈内鎮静の薬剤を投与した後は、ふらつきが半日程残るため、自転車の運転や1人での行動はさせないように注意してください。
小児歯科で子どもに麻酔を使用するメリット
小児歯科で子どもに麻酔を使用するメリットには、痛みが緩和される、精神的・身体的に負担を和らげられるなどが挙げられます。
痛みが緩和される
麻酔を使用することにより、子どもが治療の際に感じる痛みを緩和できることが1番のメリットです。
永久歯の抜歯や神経の治療を行う時には、必ず痛みが生じます。
そのような場合に、できるだけ子どもの苦痛を和らげられるよう、虫歯の治療の際には麻酔を使用します。
精神・身体的負担を和らげる
子どもは歯医者に対してネガティブなイメージをもっていることが多く、治療の痛みに対して不安を感じている場合があります。
その際に、麻酔の使用により痛みを緩和させることで、虫歯治療に対しての不安も減り、子どもが安心して治療を受けることができます。
小児歯科で子どもに麻酔を使用するデメリット
小児歯科で麻酔を使用するデメリットには、注射の針を打つ際に痛みが生じること、お子さまによっては麻酔が効きにくいことなどが挙げられます。
注射の針を打つ時に痛みがある
口内に麻酔注射をする際には痛みが生じます。
この痛みは大人でも嫌がる人は多く、もちろん注射の痛みを怖がってしまう子どもも少なくありません。
しかし、注射を使用する麻酔の際には、表面麻酔を使用する場合もあるため、患部に塗布することで、注射の痛みを軽減することが可能です。
お子さまが注射の痛みに対して怖がっている場合は、歯科医に相談して、表面麻酔を使用するようにしましょう。
麻酔が効きにくい場合がある
お子さまの歯の状態によっては、麻酔が効きにくい場合があります。
麻酔が効きにくい主な原因は、歯や歯ぐきの周囲に強い炎症がある・骨が硬く麻酔の薬剤が浸透しにくい、などが考えられます。
その場合は、お子さまの状態にあった治療方法を歯科医師が提案します。
小児歯科で麻酔を使用した後の3つの注意点
子どもに麻酔を使用した際に注意が必要なのは、以下の3つです。
- 食事は麻酔が切れてから
- 熱い飲み物や食事を控える
- 指や舌で触らない
麻酔の効果が完全になくなるまでには、2〜3時間かかることがあります。
麻酔を使用した箇所は感覚が鈍っているため、親御さんは帰宅後も子どもを注意してみておくようにしましょう。
食事は麻酔が切れてから
局部麻酔が効いていると、子どもの口内の感覚はほとんどありません。
そのため、誤って頬の内側を噛んでしまっても気付けず、いつの間にか血が出ているケースも珍しくないです。
その状態で食事をすると、口から食べ物がこぼれたりする場合もあります。
せっかく虫歯の治療をしたにもかかわらず、その後の食事により口内を痛めてしまうことを避けるため、麻酔の効果が効いている間は、食事を避けるようにしましょう。
熱い飲み物や食事を控える
麻酔が効いている間は、感覚だけではなく温度も感じにくくなります。
麻酔が効いている間に熱い飲み物や食事をとってしまうと、知らないうちに火傷をすることがあります。
場合によっては、治療が必要になる程の火傷を負ってしまう可能性があるため、麻酔が切れるまでは、親御さんは子どもから目を離すことなく、注意してください。
指や舌で触らない
子どもの場合は、麻酔した場所の感覚がないことが気になり、直接指や舌で触ってしまうことがあります。
口元を必要以上に触ってしまうと、治療部位に雑菌が侵入し腫れてしまう恐れや、爪で引っ掻いてしまい傷をつけてしまう恐れもあります。
また、頬の感覚もなくなっているため、子どもによっては頬を噛んでしまい、白く腫れてしまうケースもよくみられるため、注意しながら見守りましょう
麻酔の使用で起こりうる偶発症
非常に稀ではありますが、小児歯科で麻酔を使用した場合、偶発症が出ることがあります。
偶発症の可能性は0ではないため、注意が必要です。
麻酔が原因で引き起こされる偶発症である、神経性ショックと過換気症候群について詳しく解説します。
神経性ショック
診療中の全身的偶発症のうち、もっとも頻度の高いものが神経性ショックです。
虫歯治療に対する不安や緊張などの精神的ストレスに加え、強い痛みや刺激が加わることで、迷走神経緊張状態となり起こる症状です。
この場合は、横になって酸素を投与し、ゆっくり休んでいれば回復することがほとんどです。
過換気症候群
過換気症候群が起こるきっかけは神経性ショックと似ており、不安や緊張、恐怖などで過換気症候群を発症します。
症状は過呼吸以外に、口周辺・手足のしびれ・手足の硬直などがみられます。
対処法としては、とにかくゆっくりと呼吸することで、症状がひどい場合には医療機関へ連絡してください。
まとめ
本記事では、小児歯科で麻酔が使用されるタイミングや麻酔の種類、メリットや注意点を詳しく解説しました。
麻酔と一言でいっても、注射以外に塗布するものや笑気麻酔など、さまざまな種類が存在します。
虫歯の治療の際に使用する可能性がある麻酔ですが、なるべく麻酔を使用した治療を子どもに受けさせないためにも、定期的な検診で虫歯を予防する必要があります。
『千歳烏山やの歯科』では、お子さまにとって精神的・身体的になるべくご負担がかからない治療方法をご提案しております。
虫歯治療の麻酔が怖いというお子さまに対するケアも徹底しておりますので、是非千歳烏山やの歯科にご相談ください。