虫歯10本の治療期間を進行度別に解説!時間がかかる理由も紹介

もしも虫歯が10本あったとしたら、治療にどれくらいの期間がかかるのでしょうか。
虫歯の治療期間は本数や進行度別によって異なり、症状が軽いほど早く治すことができます。一方で、症状が進行した虫歯になると治療回数が増え、期間も長くなります。
この記事では、虫歯10本あった場合の治療期間を進行度別に紹介し、時間がかかる理由も合わせて解説します。
虫歯10本の治療期間について

虫歯10本の治療期間は、虫歯の進行度によって異なります。
初期段階の虫歯であれば治療せず、自宅で行うセルフケアでの治療も可能です。一方で、進行した虫歯になると治療が必要となり、場合によっては抜歯を行わなければなりません。
10本の虫歯がそれぞれどのような状況にあるかによって、治療期間は大きく変わる点に注意する必要があります。
また、「虫歯が10本あるという状況は現実的にあり得るのか?」と疑問に感じる方もいらっしゃるかもしれません。口腔ケアが不十分な場合や生活環境によっては虫歯が多発するケースもあり、歯科検診で10本以上の虫歯が見つかる可能性もあります。
なお、虫歯菌や虫歯感染の原因などは以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
【進行度別】虫歯10本の治療期間

虫歯10本の治療期間は虫歯の進行度が分かれば、ある程度把握することができます。
ここでは、虫歯10本の治療期間を紹介します。
【CO】虫歯になりかけ状態の治療期間
虫歯になりかけ状態であるCOの治療期間は、虫歯が10本でも基本的には0日です。
この段階は歯の表面がわずかに脱灰しているだけで、穴が開いていない初期の状態です。歯を削る治療は行わず、正しいブラッシングやフッ素塗布、定期的な歯科医院でのクリーニングなどで再石灰化を促進します。
そのため、COの虫歯が10本あったとしても削る必要はなく、治療期間は0日となります。
しかし、COは適切なケアを行わないと進行するリスクがあるため、歯科医師の指導のもとでしっかりと予防ケアを行うことが重要です。
虫歯の初期症状に関して、以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
【C1】エナメル質が侵されている状態の治療期間
エナメル質が虫歯で侵されているC1の治療期間は、虫歯が10本でも基本的に1日です。
ただし、歯科医院の診察体制や口腔内の状態によっては2回以上に分けて治療を行う場合もあります。
C1は歯のエナメル質が虫歯菌に侵されていて、穴が開いている状態です。
痛みは感じないため、虫歯になっていることに気づかない方も少なくありません。しかし、C1まで虫歯が進行するとセルフケアだけでは治すことが難しい場合もあり、虫歯部分を最小限に削って、コンポジットレジンや銀歯の詰め物で治療を行う場合があります。
【C2】象牙質が侵されている状態の治療期間
象牙質が虫歯で侵されているC2の治療は1〜3回の通院が必要となり、虫歯10本の治療期間は数週間程度が目安です。
C2はエナメル質の内側にある象牙質まで虫歯が進行しており、黒くなったり、冷たいものがしみたりなどの症状が特徴です。
C2は虫歯の自覚症状が出てきやすい進行度とされており、虫歯部分を削って詰め物や被せ物で治療します。
軽度であれば1回で完了する場合もありますが、歯の型を取って詰め物をする場合は時間がかかるため、数回に分けての治療が必要です。
【C3】神経が侵されている状態の治療期間
神経が虫歯で侵されているC3の治療は、4〜5回に分けて行われ、虫歯10本の治療期間は数か月以上かかるのが一般的です。
C3は神経が侵されているため、神経を抜く根管治療が必要となり、1本につき4〜5回の通院が必要となります。さらに虫歯10本すべてC3の場合は、一度に複数本を同時進行で治療することは患者に負担がかかることから難しいケースがほとんどです。
根管治療の間隔は通常1〜2週間ごとであり、治療本数が多くなるほど全体の期間も長くなります。
また、根管治療は途中でやめてしまうと再度やり直しが必要になったり、抜歯する必要があったりするため注意が必要です。
【C4】歯根部が侵されている状態の治療期間
歯根部が虫歯で侵されているC4の治療は、根管治療または抜歯が必要となり、虫歯10本の治療期間は数か月~数年かかるのが一般的です。
抜歯する場合は、抜歯後にブリッジやインプラント、入れ歯などの補綴治療が必要となります。
一度に複数本を同時に治療することは患者に負担がかかるため、1〜2本ずつ進めていく場合もあります。症状の重い歯や炎症が強い場合は、さらに期間が延びることもあるため注意が必要です。
補綴治療の種類や口腔内の状態、治療計画によって期間は大きく異なるため、歯科医師と相談して最適な治療プランを立てることが大切です。
虫歯10本の治療期間が長引く理由

虫歯の進行が進んでいるほど、複数の虫歯の治療期間も長引きやすい特徴があります。
ここでは、その理由を解説します。
段階的に治療が必要となるため
虫歯10本の治療期間が長引く理由は、虫歯が進行している状態だと段階的に治療が必要となるためです。
初期の虫歯なら1回の治療で終えることも可能ですが、進行していると「歯を削る」「型を取る」「詰め物を作る」「詰め物を被せる」など段階的に治療が必要になります。
また、C3以上の進行度になると根管治療も必要となり、再発防止のために複数回通院して消毒もしなければなりません。虫歯の治療は時間や手間をかけて丁寧に処置する必要があるため、治療期間が長引きやすい特徴があります。
噛み合わせを考えた治療を行うため
歯を削る際には、噛み合わせを考えた治療が必要となるため、一度に何度も虫歯の治療ができなくなります。
特に上下で噛み合う歯や隣合っている歯を削る治療は、噛み合わせへの影響が大きいため、1本ずつ治療しなければなりません。噛み合わせが悪くなると、食事が不便になるだけでなく、以下のような不調の原因にもなります。
- 虫歯になりやすくなる
- 顎関節症のリスクが高まる
- 表情がゆがむ
このように、さまざまな悪影響を及ぼす可能性があるため、噛み合わせが悪くならないように複数の歯を同時に治療することは避ける必要があります。
保険治療のルールがあるため
虫歯10本の治療期間が長くなる理由として、保険治療にルールがあることも理由の一つです。
保険診療の場合、医療機関は一定のルールに従って治療を行う必要があります。厚生労働省によって診療報酬単価が設けられており、通院1回で可能な治療には上限があるため、複数の虫歯を一回で治療することが難しい場合もあるのです。
また、保険で定められた治療の進め方を守って処置するため、軽度の治療であっても、保険診療だと何度も通う必要が出てきます。
保険診療は自己負担が少ないメリットがある一方で、通院や治療の回数が増えやすい点には注意が必要です。
予約トラブルの防止のため
虫歯10本の治療期間が長くなるのは、予約トラブル防止も理由の一つです。
一度にまとめて治療を進めようとすると、一人の患者に対して長い治療時間が必要となります。他の患者の予約が取りにくくなり、歯科医院全体のスケジュールに支障が出るため、1回ごとの治療時間を長く取ることが難しくなるのです。
このため、多くの歯科医院では1回の診療で治療する歯の本数や治療時間を制限し、効率よく多くの患者に対応できるように予約管理をしています。
本数が多い虫歯は早期治療が大切

虫歯10本のように虫歯の本数が多い場合は早期治療が重要です。
ここでは、その理由を解説します。
治療が短時間で終わる
虫歯10本のように虫歯の数が多くても、症状が軽度のうちなら治療は比較的短時間で終わります。
通院回数が少なく済むことで、歯科医院に通う負担を減らせるだけでなく、治療費を抑えることも可能です。
進行してしまうと根管治療や被せ物など複雑な処置が必要となり、1本ごとの治療時間や通院回数も多くなります。
そのため、定期的に歯科医院で歯の状態を診察してもらい、初期虫歯の状態で治療することが大切です。
虫歯の感染拡大を防ぐ
虫歯が他の健康な歯に感染しないためにも、本数が多い虫歯は早期治療が重要です。
虫歯は細菌による感染症であり、すでに虫歯になっている歯があると、そこから虫歯菌が口腔内に広がって他の健康な歯にも広がるリスクがあります。特に本数が多いと感染源が複数あるため、新たな虫歯ができやすくなります。
このため、虫歯が複数本あるような場合は早期治療が大切です。早めに治療することで口腔内の虫歯菌を減らし、他の歯への感染拡大を防ぐことにつながります。
歯の寿命を延ばす
虫歯が多い場合でも、早期に治療を受けることによって歯の寿命を延ばすことができます。なぜなら、早期治療なら虫歯の数が多くても健康な歯を多く残せるため、歯の強度や機能を保持しやすいためです。
歯は一度削ると元には戻らず、削る量が多いほど歯の強度が低下し、将来的に割れたり折れたりするリスクが高まります。
また、早期治療なら神経を取らずに済む可能性が高く、神経が残ることで歯の寿命が延びます。反対に複数虫歯を放置して進行させると、神経まで達して根管治療や抜歯が必要となり、複数の歯を失うことにもなりかねません。
まとめ
虫歯10本の治療期間は、虫歯の進行度によって大きく変わります。
進行度がCOであれば、虫歯がたくさんあっても治療期間は基本的に0日です。一方で、C3やC4まで虫歯が進行した状態だと、すべての虫歯を治療するまでに数か月~数年の期間を要することになります。
さらに虫歯を放置していると他の健康な歯にも感染を拡大し、虫歯治療にかかる期間が延びる可能性もあります。そうならないためにも、歯科医院で定期検診を受け、虫歯が初期の段階で治療を始めることが重要です。
千歳烏山やの歯科では、患者さま一人ひとりの虫歯の進行度に合わせて、最適な治療計画をご提案いたします。進行した虫歯も丁寧な根管治療や補綴治療まで幅広く対応可能です。
定期検診や早期治療によって治療期間や歯のダメージを最小限に抑え、患者さまの大切な歯を長く守るサポートをいたします。虫歯が気になる方は、お気軽にご相談ください。