虫歯を放置するとどうなる?リスクや起こりうる病気を解説

虫歯 放置すると

虫歯は自然に治るものではなく、放置すると進行する病気です。

放置すると痛みが悪化するだけでなく、全身にさまざまな症状が現れる場合もあります。虫歯によって取り返しがつかなくなる前に、早期発見や早期治療を心がけることが大切です。

この記事では、虫歯を放置するリスクや起こりうる病気についてわかりやすく紹介します。

虫歯は放置しても治らない

虫歯 放置すると

虫歯は放置しても自然に治ることはありません。

その理由は、虫歯は歯の表面や内部に定着した細菌による感染症であり、体の免疫力では歯に進入した虫歯菌を排除できないためです。歯は血管や免疫細胞が直接働きにくい組織でできているため、虫歯菌に侵された部位を自分で修復することはできません。

ごく初期の虫歯であれば適切なブラッシングやフッ素塗布によって進行を止めたり、再石灰化による修復が期待できることもあります。しかし、これは自然に治っているわけではなく、専門的なケアが必要です。

虫歯を放置するリスク

虫歯 放置すると

虫歯を放置することで痛みだけでなく、口臭や食欲不振など日常生活にさまざまな問題が生じる可能性があります。

ここでは、虫歯を放置するリスクや症状などを解説します。

痛みが強くなる

虫歯を放置すると痛みが強くなるのは、虫歯の進行によって神経が露出したり炎症を起こしたりするためです。

初期の虫歯では痛みを感じることは少ないものの、進行すると冷たいものや甘いものがしみるようになり、さらに進行すると細菌が神経を刺激して炎症や膿も生じます。炎症がひどくなると痛み止めが効かなくなり、夜も眠れないほど強い痛みに悩まされることもあります。

咀嚼機能が低下する

虫歯を放置すると咀嚼機能が低下するのは、虫歯が進行して歯の内部に細菌が進入し、歯が崩れたり折れたりするためです。

また、神経まで虫歯が達すると激しい痛みが生じ、噛むたびに強い痛みを感じるため、自然と噛むこと自体を避けるようになります。

痛みによって咀嚼機能が低下すると消化不良や栄養バランスの乱れにもつながるため、虫歯は放置せずに治療することが重要です。

食欲不振につながる

虫歯は食欲不振にもつながります。

その理由は、痛みやしみる感覚によって、食事そのものが苦痛に感じるためです。虫歯が悪化すると、食べ物を噛むときに強い痛みや不快感が生じ、冷たいものや熱いものがしみます。

その結果、冷たいものや熱いもの、硬いものを避けてやわらかい食品に偏りがちとなり、食事の楽しみがなくなって食欲減退につながるというわけです。

また、虫歯による痛みや不快感が続くと、ストレスや倦怠感となり、これらが食欲低下の一因となる場合もあります。

口臭が強くなる

虫歯は口臭を強め、周囲に不快感を与えてしまう可能性があります。

口臭が強くなるのは、虫歯が進行することで歯にできた穴に食べ物のカスが詰まりやすくなるためです。食べ物のカスが詰まることで細菌が繁殖し、悪臭を伴うガスが発生して臭いの原因となります。

虫歯が進行して歯の神経が腐ったり、歯の根元に膿がたまったりすることで、より強烈な口臭が生じます。

口臭は本人が自覚しにくい場合が多い一方で、周囲の人には気づかれるケースが少なくありません。

顎が変形してしまう

虫歯を放置したままにしていると、顎が変形するリスクがあります。

なぜなら、進行した虫歯が歯の根や歯の周囲の組織にまで感染を広げ、顎の骨に炎症や破壊を引き起こすためです。虫歯菌が歯の根の先にまで到達すると、根尖性歯周炎などの炎症が発生し、これが顎骨に波及して骨が溶けたり変形したりする場合があります。

また、虫歯による痛みを避けるために片側だけで噛むことが習慣化すると、顎の筋肉のバランスが崩れて顎の変形のリスクが高まります。

顎が変形すると、食べ物がうまく噛めなくなることや、発音がしにくくなるなどの機能障害が生じるため注意が必要です。

歯を失う

虫歯を治療しないでいると、最終的には歯を失ってしまうリスクがあります。

これは虫歯菌が歯の表面から内部に進行し、やがて神経や歯根、さらには歯を支える骨にまで感染を広げるためです。初期の虫歯においてはエナメル質や象牙質が溶けるだけですが、放置すると細菌が神経に達し、神経が死ぬと歯は脆くなって崩れやすくなります。

この状態をさらに放置すると歯の根の先に膿がたまり、歯を支える骨が溶けたり、歯自体が抜けたりします。

治療の選択肢が減る

虫歯を初期のうちに治さない場合、治療の選択肢が大きく減るというリスクがあります。

初期段階であればフッ素塗布や小さな詰め物など、簡単で負担の少ない治療で済ませることが可能です。虫歯が進行すると大きな詰め物や被せ物が必要となり、さらに悪化すると神経を取る治療や抜歯が避けられなくなります。

また、虫歯の進行によって顎の骨が損失すると、インプラントなど一部の治療法が選択できなくなる可能性もあります。放置すればするほど元の歯を残せる可能性が低くなり、治療の選択肢が限られるため、早期発見が重要です。

治療期間と費用が増加する

虫歯を放置するほど、治療期間と費用が増加します。

初期の虫歯なら短期間で簡単な詰め物やフッ素塗布などで済み、治療期間や治療にかかる費用を最小限で抑えることが可能です。

しかし、虫歯が進行して神経や歯の根に達してしまうと、根幹治療や被せ物、抜歯など大がかりな治療が必要となります。1回の通院だけでは治療が終わらず、何度も通う必要が出てくるため、その分だけ費用もかさみます。

虫歯を放置して発生する可能性がある病気

虫歯 放置すると

虫歯の放置は口腔内のトラブルだけでなく、さまざまな病気を引き起こすリスクがあるといわれています。

ここでは、虫歯を放置して発生する可能性がある病気を解説します。

骨髄炎

虫歯は、骨髄炎を引き起こす可能性があります。

骨髄炎とは、骨の中心にある骨髄に細菌が入り込んで炎症を起こす病気です。歯の根は顎の骨に直接埋まっているため、虫歯からの感染が骨に波及して、炎症を引き起こす場合があります。

骨髄炎になると、以下のような症状が生じます。

  • 痛み
  • 腫れ
  • 膿の流出
  • 発熱
  • 倦怠感
  • 歯のぐらつき

重症化すると手術や長期入院が必要になる可能性もあります。

副鼻腔炎

上顎の奥歯にできる虫歯は、放置すると副鼻腔炎の発症リスクを高めます。

副鼻腔炎は鼻づまりや発熱をはじめ、頭痛や顔面の痛みなどさまざまな症状を引き起こす病気です。

上顎の奥歯の根の先端は、上顎洞という副鼻腔の一部に近い位置にあります。

虫歯が進行して歯の根の先に膿が溜まると、細菌が上顎洞に入り込み、副鼻腔炎を引き起こします。

敗血症

虫歯の放置によって、敗血症を発症する可能性もあります。

敗血症とは、血液中に侵入した細菌が増殖し、全身の臓器に炎症や障害などを引き起こす病気です。虫歯が長期間続くことによって、炎症部分から細菌が血流に乗って全身に回り、発熱や倦怠感、多臓器不全などを引き起こす可能性があります。

敗血症になると適切な治療を受けなければ命に関わることもあり、特に免疫力が低下している人や高齢者は要注意です。

誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)

虫歯を治療しないまま放置していると、誤嚥性肺炎を引き起こすリスクが高まります。

これは虫歯を放置することで口腔内に細菌が増殖し、その細菌が唾液や食べ物とともに、誤って気道や肺に入り込むことで発生します。さらに虫歯による痛みや違和感で咀嚼が不十分になり、そのまま飲み込むことで誤嚥が起こりやすくなります。

誤嚥性肺炎は死亡リスクが高い病気であり、虫歯の治療や予防はもちろん、日頃から口腔内を清潔に保つことも大切です。

心筋梗塞や脳梗塞

虫歯を治療しないままでいると、心筋梗塞や脳梗塞などの心血管疾患リスクを高めます。

これは虫歯が進行することで虫歯菌が血流に乗って全身に広がり、血管の内側で炎症を引き起こして動脈硬化を助長するためです。

動脈硬化が進行すると、心臓の血管が詰まって心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす危険性が高まります。

虫歯を放置しないためには

虫歯 放置すると

虫歯を放置してさまざまなリスクを高めないためにも、定期的な歯科検診や日頃の口腔ケアが重要です。

ここでは、それぞれのポイントを解説します。

定期的な歯科検診

定期的な歯科検診は虫歯を放置しないために重要です。

虫歯は初期段階では自覚症状がほとんどなく、自分では気づかないことも多くあります。そのため、中には自分では気づかないまま虫歯を放置してしまっているケースも少なくありません。

自覚症状が現れたときにはすでに進行している段階であり、大がかりな治療が必要になることもあります。

定期検診を受けていれば、初期段階の虫歯を早期に発見できて、簡単な治療で済む場合も多くあります。

日頃の口腔ケア

虫歯を放置して症状を悪化させないためには、日頃の口腔ケアが重要です。

口腔ケアによって虫歯の原因となる細菌の繁殖を抑え、虫歯の進行を抑制することができます。

具体的な口腔ケアは以下のとおりです。

  • 毎日の歯磨き
  • デンタルフロスや歯間ブラシの使用
  • フッ素入り歯磨き粉の使用
  • 規則正しい食生活

これらを日々実践することで虫歯の発生や進行を防ぎ、症状を悪化させることなく健康な口腔環境を維持できます。

まとめ

虫歯を放置すると、歯の痛みや歯の損失につながり、さらには口腔内の細菌が血流に入り込んで全身の健康にも悪影響を及ぼします。

心筋梗塞や脳梗塞など心血管疾患のリスクが高まるほか、誤嚥性肺炎や副鼻腔炎などの病気を引き起こす場合もあります。

また、虫歯による痛みや不快感で食事がしにくくなり、栄養バランスの乱れや食欲不振など日頃の生活にも影響を及ぼす可能性があるでしょう。

そうならないためにも、日頃の口腔ケアを行いつつ、定期的な歯科検診も重要になります。

千歳烏山やの歯科では、患者さま一人ひとりの口腔状況に合わせた虫歯の予防や治療を行っています。痛みや怖さに配慮した治療を心がけており、小さなお子様からご年配の方まで安心して通っていただける環境を整えています。

虫歯について気になることがあるという方も、まずはお気軽に当院までご相談ください。

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