小児矯正で使われる4種類の器具のメリットやデメリット、選び方を解説!
小児矯正で使う器具にはさまざまな種類があるため、子どもに合わせた治療方法を選ぶことが大切です。
それぞれの種類にはメリットやデメリットがありますが、子どもの年齢や歯並びを考慮した器具を使うことで、小児矯正の負担や抵抗感を軽減できます。
この記事では、小児矯正の種類やメリット・デメリット、種類の選び方を解説します。
小児矯正の種類と特徴
小児矯正の種類は、可撤式、固定式、顎外固定式、ワイヤー矯正の4つに分けられます。それぞれメリットやデメリットがあるため、施術を受ける前には慎重な比較が必要です。
ここでは、小児矯正で使われる主な器具の種類と特徴、メリット・デメリットについて詳しく解説します。
取り外しが可能な可撤式
可撤式は、取り外しができる矯正器具です。
好きなタイミングで器具の着脱が可能となっており、痛みが強い場合は簡単に外せるため、治療中の負担を抑えられます。
また、歯磨きの際にも取り外せば奥歯まで歯ブラシが届きやすく、虫歯や歯周病のリスクを下げられるのもメリットのひとつです。
一方、子どもの力でも着脱できるため、勝手に取り外されてしまうと治療効果の低下が懸念されます。
特に歯列矯正を嫌がっている子どもの場合は、痛みや違和感からすぐに器具を外してしまうケースも珍しくありません。
矯正器具は小型で軽量なため、頻繁に取り外すと紛失につながります。子どもが知らないうちに器具を取り外すことのないよう、保護者による注意が必要です。
可撤式矯正器具には以下の種類があります。
- 拡大床(かくだいじょう)
- ムーシールド
- リップバンパー
- ツインブロック
- F.K.O(アクチバトール)
- インビザライン・ファースト
- プレオルソ
可撤式は、治療中の痛みや違和感を最小限に抑えたい場合に特におすすめしたい小児矯正の種類です。
長期間固定する固定式
固定式は、歯や歯茎そのものに長期間固定するタイプの矯正器具です。
固定式矯正器具は歯や歯茎に長期間固定することで矯正効果を持続させ、正しい歯並びの土台を作ります。
特に思春期以前の子どもは歯並びが不安定なため、長期間の固定による効果の定着が重要です。固定式矯正器具には、以下の種類があります。
- 急速拡大装置
- リンガルアーチ
- タングガード
- 部分ワイヤー
基本的に固定式矯正器具は歯科医以外では着脱できないため、治療中に予期せぬ痛みや違和感があっても、簡単には器具を外せないデメリットがあります。
そのため、多少の違和感に耐えられる中学生以降での使用がおすすめです。
口の外で固定する顎外固定式
顎外固定式は、頬から顎まわりにかけてワイヤーをかけ、矯正器具を固定する方式です。
口腔内に器具を入れないため口の違和感が比較的少なく済みます。また、歯磨きがしやすいため、虫歯・歯周病のリスクを下げられる点もメリットです。
しかし、装着するヘッドギアが目立ってしまうため、見た目を気にする子どもの場合は抵抗を感じてしまう場合もあるでしょう。
そのため、矯正器具をどうしても口腔内に入れられない場合や、歯磨きをしっかり行いたい場合におすすめです。
歯列の表もしくは裏にワイヤーを通すワイヤー矯正
ワイヤー矯正は、歯列の表側にワイヤーを通して正しい歯並びをキープします。施術自体が比較的短時間で終わるため、子どもへの負担が少ない点がメリットです。
一方、ワイヤー部分が外から目立ってしまうため、見た目の印象が大きく変わってしまう点がデメリットとして挙げられます。
また、歯列の裏側にワイヤーを通す方法もあり、表側にワイヤーを通すよりも目立ちにくく、見た目の印象を変化させない治療が可能です。
ただし、裏側のワイヤー矯正は表側の矯正よりも施術が複雑であり、費用がやや割高になってしまう点がデメリットとして挙げられます。
小児矯正の種類の選び方
小児矯正の最適な施術方法は、子どもの年齢や歯並びの特徴などによって変わります。また、病気や体質など、子ども個人の事情にも配慮が必要です。
ここでは、小児矯正の種類の選び方について解説します。
子どもの年齢に合わせて選ぶ
子どもの年齢に合わせて、小児矯正の種類を選ぶことが大切です。小児矯正は3歳から18歳と幅広い年齢が対象ですが、年齢によって種類を選ぶポイントが変わります。
例えば、幼児期は矯正そのものに慣れさせる意味でも着脱可能な可撤式矯正器具のほうが使いやすいでしょう。
また、幼児期は虫歯リスクが高い時期でもあるため、歯磨きがしやすい可撤式矯正器具がおすすめです。
ただし、幼児期の歯列矯正で可撤式を使用する場合は器具の紛失がないよう、保護者による入念なチェックが必要です。
一方で、矯正の意味をきちんと理解できる小学校高学年~中学生以降の場合、効果がより持続しやすい固定式矯正器具のほうがメリットがあります。
歯並びの特徴で選ぶ
小児矯正では、子どもの歯並びに合わせて治療方法を選ぶことも重要です。以下の4つに分けられる治療法から、歯並びの特徴にあった歯列矯正を選びましょう。
- 歯並びの土台を広げる
- 上顎の成長を抑制する
- 下顎の成長を抑制する
- 舌の筋肉を発達させる
例えば、顎そのものが全体的に細い場合、永久歯が正しく生えるスペースを確保するために歯並びの土台に余裕を持たせる施術が必要です。
また、歯並びの歪みは顎の筋肉の未発達によっても引き起こされます。上顎の筋肉が下顎よりも発達したり、骨格が出っ張ったりしてしまう状態が出っ歯です。
反対に、下顎のほうが発達しすぎると受け口(しゃくれ)になります。
あるいは、舌によって上の前歯が押され出っ歯になるケースも珍しくありません。その場合は、タングガードで舌と前歯の接触を抑える治療法が選択されます。
ただし、同じパターンの歯並びでも子どもの年齢や体質、性格によって治療法が異なるため、医師による事前のカウンセリングが必要です。
病気や障害の有無で選ぶ
特定の病気や障害を持った子どもに対する矯正は、一定の配慮が必要な場合があります。
例えば、病気により口腔内の皮膚が弱い場合、長期間歯列に固定するタイプの矯正器具は負担となるでしょう。
また、刺激に敏感な特性を持った子どもの場合、知らないうちに自力で矯正器具を外したり、外せない場合はパニックを起こしたりしてしまうかもしれません。
専門的なノウハウを持っている歯科医であれば、個々の病気や障害特性に配慮した矯正に力を入れているため、専門の歯科医を選ぶこともひとつの方法です。
小児矯正は種類によって費用が異なる
小児矯正は段階によって費用が異なります。
幼児期~小学生にかけて行われる第一期治療の場合、平均費用は5~20万円程度です。相場が最も高いのはマウスピース矯正で、性能によっては30万円以上かかる場合もあります。
また、中学生~社会人を対象とした第二期治療の場合、平均費用は10~50万円です。
舌の調整や出っ歯・受け口矯正など、比較的短期間で終わる施術であれば10万円以内で収まるケースもありますが、本格的な施術の場合は50万円を超えることもあります。
基本的に小児矯正は第一期・第二期とセットで行われるため、全体の平均費用は15~80万円前後かかります。
小児矯正の種類が合わなかった場合の対処法
小児矯正は子どもの歯の健康を守るために必要な治療ですが、ごく稀に治療法が合わず、予期せぬトラブルにつながってしまう可能性があります。
ここでは、矯正の種類がどうしても合わなかった場合の対処法について解説します。
歯科医に相談
小児矯正の治療法が子どもに合わなかった場合は、歯科医への相談が先決です。
歯科医も治療の経過を丁寧にチェックしていますが、細かい不具合を見落としてしまう可能性もゼロではありません。
子どもが矯正による不具合を訴えたら頭ごなしに否定せず、速やかに相談しましょう。専門家の意見を聞くことで、子どもの体質に合った治療法が見つかる可能性もあります。
歯科医に相談する際は、子どもの気持ちをそのまま伝えるようにするとよいでしょう。
他の歯科医を試す
矯正中の不具合が長引く場合、歯科医を変えることでうまくいく場合があります。特に、子ども本人が歯科医に抵抗を感じている場合、治療環境を変えてみるのもひとつの方法です。
歯科医はそれぞれ得意な治療法を持っており、基本的にはそれらを中心に長期的な方針を組み立てます。あるいは、歯科医ごとに推奨している治療法があるかもしれません。
小児矯正は数年単位の長い治療となりますが、いくつかの歯科医をまわることはセカンドオピニオンにもつながり、トラブルのリスクも下げられます。
そのため、子供が小児矯正の種類に違和感や痛みを感じている場合は他の歯科医に通うことを視野に入れておきましょう。
矯正そのものをやめたほうがよいケースもある
状況によっては、矯正そのものをやめたほうがよいケースもあります。
子どもの将来を考えた小児矯正とはいえ、歯並びが悪いからといって必ずしも矯正を受ける必要はありません。
特に、子どもが矯正を嫌がっている場合、保護者が一方的に押しつけることはストレスにつながってしまいます。
特に数年単位で通っても思うような効果があらわれない場合は無理をせず、治療の必要性を含めて担当の歯科医に相談しましょう。
まとめ
小児矯正の主な種類は可撤式、固定式、顎外固定式、ワイヤー矯正の4つです。器具を固定する位置や取り外し可能かどうかが異なります。
また、それぞれのメリットやデメリットが異なるため、子どもの年齢や体質、性格に合わせてストレスのない治療方法を選ぶことが大切です。
千歳烏山やの歯科は、小児矯正に力を入れています。
オーソドックスなワイヤー矯正・マウスピース矯正はもちろんのこと、幅広い治療方法を取り入れており、子どもへの負担が少ない矯正を心がけています。
また、キッズルームの用意や診療室の天井にアニメを映し出すプロジェクターを設置するなど、治療を受ける子どもの不安を取り除く配慮もしています。
子どもに合った小児矯正の種類が分からないという方は、お気軽にご連絡ください。