マイクロスコープを用いた根管治療のメリット・デメリットは?費用についても解説

マイクロスコープ 根管治療

視野を肉眼の約20倍に拡大できるマイクロスコープは、根管治療に適した機器です。

肉眼では見ることができなかった歯の根管を細かく見ることができ、再発の原因となる虫歯や神経、細菌の取り残しを防ぎます。

一般的な根管治療で痛みの再発を繰り返していた場合でも、マイクロスコープを用いた根管治療で原因の除去が期待できます。

この記事では、マイクロスコープを用いた根管治療の概要、メリットやデメリット、治療費用について解説します。

マイクロスコープを用いた根管治療とは

マイクロスコープ 根管治療

マイクロスコープを用いた根管治療とは、通常の根管治療より深い部分をマイクロスコープ(顕微鏡)で確認しながら行う治療法です。

根管とは歯髄(しずい)と呼ばれる歯の内部を指し、痛みを感じる神経や血管が通っている部分になります。

虫歯が進行して歯髄まで菌が侵食すると、神経を通じて激しい痛みを感じるため、根管治療が必要となるのが一般的です。

根管治療は歯の内部まで侵食した菌の消毒、除去が目的ですが、肉眼では根管の細部まで見ることはできません。

そのため、マイクロスコープを用いて根管治療を行い、肉眼の20倍まで拡大できるレンズを通して患部の治療を行います。

一般的な根管治療は、以下の流れで進められます。

  • 初診:レントゲンや触診による口腔内検査
  • 第一期治療:神経除去や研磨、消毒
  • 第二期治療:根の深い部分の消毒と土台形成
  • 最終治療:疑歯の作成、経過観察

ここでは、マイクロスコープを用いる場面を含めて治療の流れを解説します。

初診:レントゲンや触診による口腔内検査

歯の治療を受ける際は、口腔内のレントゲン撮影、目視・触診検査、カウンセリングを行います。

初診では健康的な歯を含めてレントゲンやCTを撮影し、現在の状況の確認が最優先です。検査結果を確認し、菌が歯髄まで侵食している場合には根管治療の準備を行います。

医師はレントゲン写真やCT画像でも、根管に膿が溜まっている様子を見て判断できますが、歯を削って根幹が見える状態にした方が正確な判断が可能です。

初診段階で激しい痛みや腫れがある場合は神経麻酔が効かない可能性もあるため、痛み止めや炎症止めが処方され、鎮静化するまで治療ができないケースもあります。

第一期治療:神経除去や研磨、消毒による治療

患部の炎症や腫れ、激しい痛みなどがなければ、根管治療を開始します。

虫歯によって細菌が神経に到達して激しい痛みをともなうため、神経麻酔を注射してから治療するのが一般的です。

まず、マイクロスコープで削る歯を確認しながら根管内部まで歯を削り、神経を抜き取って目立つ細菌を除去します。

そのうえで歯科用の薬品を使用し、根管内部を殺菌するのが第一期治療です。消毒が完了したら仮の蓋をかぶせて、約1週間程度、殺菌されるまで待ちます。

第二期治療:根の深い部分の消毒と土台形成

消毒をしてから約1週間経過したら、根管内の状態を確認します。

仮の蓋を外してマイクロスコープを用いて、歯の根の深い部分まで消毒や研磨をする治療を進めます。

マイクロスコープを用いた根管治療では、根の深い部分に残った細菌や虫歯部分を削る際に細部まで見れるため、再発を防止可能です。

細部まで消毒、研磨ができたらガラスの繊維でつくられた仕切りを入れ、歯の破損や細菌への再感染を防ぎます。

最後は土台を形成して、義歯となる歯の形をとったら第二期治療は終了です。

最終治療:義歯の作成、経過観察

根管治療の最終段階では、形成された義歯を装着し、噛み合わせや他の歯とのバランスを調整します。

調整を終えたらレントゲンを撮影し、根幹の状態を確認して終了です。根管治療を終えた後は、1か月、2か月、半年ごとの経過観察が推奨されています。

経過観察では、患部のレントゲンを撮影して、炎症の再発や被せ物や義歯の状態を確認します。

また、一度神経を抜いてしまった歯は神経が再生しないため、丁寧なブラッシングを行い、虫歯予防を心がけましょう。

マイクロスコープを用いた根管治療のメリット

マイクロスコープ 根管治療

マイクロスコープを用いた根管治療には、さまざまなメリットがあります。治療の度に再発を繰り返してしまう場合でも、完治できるかもしれません。

ここでは、マイクロスコープを用いた根管治療のメリットを解説します。

肉眼の20倍の拡大率で根の細部を治療できる

マイクロスコープは、医療用の精密な顕微鏡で視野を最大で20倍まで拡大可能です。肉眼では目視できない暗く狭い部位まで治療ができます。

そのため、根管治療にマイクロスコープを用いることで歯の最深部まで確認でき、歯の内部にある根管まで正確なアプローチが可能です。

根管治療は従来の治療法で対処できますが、極度に悪化してしまった虫歯や治療にはマイクロスコープの使用が向いています。

抜歯を宣告された歯でも残すことができる

虫歯や歯周病が重度に悪化して抜歯を提案された場合でも、マイクロスコープを用いた歯科治療であれは歯を残せる場合があります。

抜歯が必要と判断される場合は根管の先に膿が溜まり、歯自体がグラグラするほど歯周病が悪化している状況が考えられます。

極度に悪い状態でもマイクロスコープで根管の先の細部までを消毒できれば、抜歯するリスクを回避できるでしょう。

しかし、必ずしもマイクロスコープ治療で歯を残せるわけではありません。

抜歯を宣告された場合には、マイクロスコープを導入している歯科医院をセカンドオピニオンとして相談するのがよいでしょう。

根治治療で再発を繰り返す原因を特定できる

根治治療は、歯の先端まで消毒を行うのが大切です。一般的に歯は植物の根と同様に枝分かれしており、先端に向かうほど細くなっています。

そのため、歯科医院で根治治療を受けても根の先端に残った細菌が死滅せず、治療後に繁殖して痛みが再発するケースがあります。

ただし、マイクロスコープを用いた根治治療であれば再発を繰り返す原因を特定できます。肉眼では見えない細部を目視できるため、再発の可能性を抑えられます。

マイクロスコープを用いた根管治療のデメリット

マイクロスコープ 根管治療

マイクロスコープを用いた根管治療は、導入数の低さ、治療費用、治療時間などがデメリットとして挙げられます。

ここでは、マイクロスコープを用いた根管治療のデメリットを解説します。

導入している歯科医院が少ない

マイクロスコープは、全国でも導入している歯科医院が少ないのが現状です。

マイクロスコープを導入するには、約1,000万円以上の初期費用がかかるため、歯科医院にとっては悩ましい問題です。

また、マイクロスコープは高度なスキルが求められ、治療時間も長くなります。そのため、医師が少ない歯科医院では、一般診療の患者さんを見る時間がなくなってしまいます。

導入コストや医師のスキル、人数などの理由が導入数が少ない原因のひとつです。

保険適用外の自由診療になるため費用が高い

マイクロスコープを用いた根管治療は、一部を除いて自由診療扱いです。そのため、保険適用外となり治療費が高くなってしまいます。

ただし、自由診療であっても治療範囲や詰め物の素材によって、費用をある程度抑えられる場合もあるため、予算に不安があれば事前にクリニックに相談しましょう。

治療の時間が長くなる

マイクロスコープによる根管治療は細部の治療に集中するため、1回あたりの治療時間が長くなります。

一般的な根管治療の第一期治療では、60分〜90分が平均治療時間です。

しかし、マイクロスコープを用いた根管治療は状況によって、2時間以上かかってしまう場合もあります。

マイクロスコープを用いた根管治療の費用

マイクロスコープ 根管治療

マイクロスコープを用いた根管治療は自由診療になるため、歯科医院や、大臼歯・小臼歯・前歯など、治療対象の歯により治療費が変わります。

ここでは、根管治療の費用を保険適用と自由診療で比較しながら解説します。

保険適用される根治治療の場合

保険適用される根治治療の場合、通院1回あたり3,000~4,000円程度が相場です。

また、レントゲン写真やCT画像、初診料などが加算されても、10,000円以内で受診できる場合がほとんどです。

ただし、義歯の素材をセラミックにしたり、ブリッジが必要な場合は治療費が高くなります。

マイクロスコープを用いた根管治療の場合

マイクロスコープによる根管治療の費用は、治療する歯の場所で異なります。

また、自由診療で歯科医院ごとに治療費が異なるため、詳しい費用は受診する歯科医院に確認しておきましょう。

大臼歯、小臼歯、前歯それぞれの平均相場は以下の通りです。

  • 大臼歯:10万~15万円
  • 小臼歯:3万~6万円
  • 前歯:5万~10万
  • オプション:3万円

なお、オプションには詰め物、被せ物、麻酔(無痛治療)などが含まれます。

まとめ

マイクロスコープを用いた根治治療は、歯の細部を目視しながら治療が可能です。歯髄と呼ばれる歯の内部の神経に炎症を起こした場合も、スムーズに治療を進められます。

また、目視の治療ではリスクのあった虫歯や神経、汚染物の取り残しを防ぎ、再発するリスクを軽減できます。

ただし、根管治療には必ずしもマイクロスコープが必要なわけではありません。口腔内の状態を確認しながら、歯科医とマイクロスコープの必要性を相談しましょう。

千歳烏山やの歯科では、安心して受けられる痛くない歯科医療を心がけています。

根管治療の際には拡大鏡を使い、肉眼よりも何倍も視野を拡大しながら治療します。再発の原因となる虫歯や神経などの取り残しを防ぐため、長持ちする治療が可能です。

できるだけ痛みの少ない根管治療を希望の方や、繰り返す再発にお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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