審美歯科の自由診療でも医療費控除は受けられる?対象治療と申請方法を解説

審美歯科 医療費 控除

審美歯科の治療は高額になりがちですが、「自由診療だから医療費控除は対象外」と諦めていませんか。

自由診療であっても、すべての治療が対象外になるわけではありません。この記事では、審美歯科の医療費控除の対象条件や申請までの流れを解説します。

ご自身のケースが当てはまるかを確認し、制度を正しく利用しましょう。

保険適用外の審美歯科は医療費控除の対象外?

審美歯科 医療費 控除

審美歯科の自由診療は保険適用外のため費用が高額になりがちですが、すべてが医療費控除の対象外とは限りません。

ここでは、保険適用外=対象外ではない理由と、控除を受けるために押さえておきたい基本要件を解説します。

医療費控除の適用基準:保険適用外=対象外ではない

医療費控除が適用されるかどうかは、治療の目的や内容が税法上の要件を満たすかどうかで判断されます。具体的には以下3点が判断の軸です。

  • 病気や機能障害の治療・回復が目的か
  • 医師の診断書・治療計画書などで医学的必要性を証明できるか
  • 使用材料や治療方法が一般的な水準を逸脱していないか

治療目的を証明すれば節税効果が得られるため、自由診療だからといって諦めず、治療を受ける前に歯科医院へ相談してみましょう。

医療費控除の基本要件

医療費控除を受けるには、治療や医療サービスに支払った費用が一定額を超えていることが条件となります。

具体的には、その年の医療費の合計が10万円以上、もしくは所得額の5%以上の場合、医療費控除の申請が可能です。

また、控除の対象は、治療を目的とした医療行為や投薬費、通院時の公共交通機関利用料などの直接必要な費用に限られます。

家族の分も合算できるため、世帯単位で計算するのが一般的です。

申告には領収書や明細書などの証憑が必要であり、申告内容に誤りがないよう注意して手続きすることが重要です。

なお、予防目的や美容目的の費用は原則として対象外となります。

審美歯科で医療費控除の対象になる治療は?

審美歯科 医療費 控除

審美歯科治療には多くの種類がありますが、すべてが医療費控除の対象となるわけではありません。重要なのは、治療目的であるか美容目的であるかという点です。

ここでは、審美歯科で医療費控除の対象となる治療について解説します。

治療目的のセラミック治療やインプラント治療

審美歯科において、治療目的で実施するセラミック治療やインプラント治療は医療費控除の対象となります。

例えば、耐久性や機能面を重視してセラミック冠を装着する場合や、歯の機能回復を目的にしたインプラント治療が該当します。

これらの治療は単なる見た目の改善ではなく、咀嚼機能や発音の正常化など健康維持のために必要とされるため、医療費控除の要件を満たします。

治療の際は、医療機関で機能回復や健康面の改善を明示した診療計画の提示を受け、領収書や明細書を適切に保管する必要があります。

純粋な美容目的のみのセラミック治療は対象外であるため、治療目的の明確化が重要です。

機能回復を目的とした矯正治療

機能回復を目的とした歯列矯正治療も医療費控除の対象です。

例えば、上下の歯がうまく咬み合わず日常生活に支障をきたしているケースや、顎関節症の予防を目的とした矯正治療などが該当します。

審美目的だけでなく、健康向上や生活の質の改善につながる治療であるため、医療費控除の申請が認められます。

治療内容や目的が明確に記載された診断書や治療説明書を用意し、領収書とあわせて確定申告時に提出しましょう。

噛み合わせ改善や咀嚼機能向上のための治療

噛み合わせ正常化や咀嚼機能の向上を目的とした治療も、医療費控除のケースに該当します。

日常生活での食事が難しくなるほどの噛み合わせ不良や、発音障害の原因となる症状などに対応する治療は、審美面のみならず健康回復を目的としています。

例えば、入れ歯やブリッジによる咬合回復、歯周病による噛み合わせ不良の改善などが医療費控除の対象です。

治療を受ける際は、機能改善のための具体的な目的や症状を歯科医師に伝え、必ず明記された診療計画やレセプトを保存しましょう。

審美性重視の治療との違いを明確にし、確定申告の際に根拠資料として提出することでスムーズな控除申請が行えます。

審美歯科で医療費控除の対象外となる治療は?

審美歯科 医療費 控除

審美歯科には、医療費控除の対象となる治療と対象外の治療があります。ここでは、審美歯科で医療費控除の対象外となる具体的な治療について解説します。

美容目的のホワイトニング

審美歯科の代表的な医療費控除の対象外治療がホワイトニングです。

歯を白くするホワイトニングは美容目的の施術であり、機能回復や健康維持を目的とした治療ではないため、医療費控除の対象外となります。

オフィスホワイトニングやホームホワイトニング、デュアルホワイトニングなど、すべての種類のホワイトニングが対象外です。

  • オフィスホワイトニング(歯科医院で行う治療)
  • ホームホワイトニング(自宅で行う治療)
  • デュアルホワイトニング(併用治療)

これらの治療は歯の色を改善する美容行為であり、虫歯や歯周病の治療とは異なるため、健康に必要不可欠な治療とは認められず、医療費控除が認められません。

美容目的の歯列矯正治療

歯列矯正は、治療目的によって控除の対象となるかが決まります。

単純に「歯並びをきれいにしたい」「見た目を改善したい」といった美容目的の矯正治療は医療費控除の対象外です

特に大人の歯列矯正において、審美性の向上のみを目的とした治療は控除されません。

  • 審美目的の成人矯正治療
  • 見た目の改善のみを目的とした歯列矯正
  • 職業的な理由による美容矯正

一方で、咀嚼機能の改善や発音障害の改善を目的とした矯正治療は医療費控除の対象となるため、治療の目的を明確にすることが重要です。

予防目的の歯科クリーニングとPMTC

歯科クリーニングやPMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)も、その目的により控除の対象となるかが決まります。

予防目的のクリーニングは医療費控除の対象外です

  • 予防目的の定期的な歯科クリーニング
  • 健康維持のためのPMTC
  • 定期検診での歯石除去

ただし、歯周病治療の一環として行われるクリーニングや、医師の診断に基づく治療としてのPMTCは控除の対象となる場合があります。

治療目的か予防目的かの判断は、歯科医師の診断と治療計画によって決まります。

審美歯科の医療費控除のやり方

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審美歯科の自由診療でも、機能回復や健康維持が目的の場合は医療費控除の対象になります。

会社員も医療費控除を受ける場合は、年末調整ではなく確定申告での申請が必要なため、以下の手順で申請し、税金の還付を受けましょう。

ステップ1:支払った医療費の集計と必要書類の準備

審美歯科の医療費控除を申請するには、まず1年間(1月1日から12月31日まで)に支払った医療費の合計を集計し、必要な書類を揃えます。

該当する費用には、機能回復を伴う自由診療の治療費や、通院のためにかかった公共交通機関の運賃なども含みます。

家族で支払った医療費も合算できるため、世帯全体の領収書をまとめておきましょう。必要書類は以下の通りです。

  • 医療機関・薬局が発行する領収書
  • 医療費控除の明細書(国税庁様式や家計簿フォーマットでも可)
  • 源泉徴収票
  • マイナンバーカード、運転免許証などの本人確認書類
  • 医療費のお知らせ(健康保険組合発行の場合)
  • 通院交通費を示す乗車券の半券やバス・電車の領収書

医療費の領収書や明細書は、申告時に提出しなくても5年間保存する義務があります。治療目的や内容が分かる資料も一緒に保管しておくと安心です。

ステップ2:医療費控除の金額を計算

医療費控除額は、支払った医療費総額から保険金等で補填された金額を差し引き、さらに10万円(または所得200万円未満の場合は所得の5%)を引いた額が控除対象です。

ここで説明しているのは『一般の医療費控除』であり、セルフメディケーション税制とは異なります。計算式は下記の通りです。

  • (医療費総額-保険金等で補填された金額)-10万円(または所得の5%)
  • 控除上限額は200万円

例えば、審美歯科治療で支払った費用が50万円、通院交通費や薬代が2万円、保険から2万円を補填されていた場合は、(52万円-2万円)-10万円=40万円が控除対象です。

集計時には、家族全員分の医療費を合算できるため、漏れがないよう注意しましょう。

ステップ3:確定申告書および明細書の作成

控除額が分かったら、医療費控除の明細書と確定申告書を作成します。作成の際は、下記のポイントを押さえながら準備しましょう。

  • 国税庁のホームページや税務署窓口から様式を入手できる
  • 明細書作成には、医療を受けた人ごと・医療機関ごとに金額を集計可能
  • 領収書が多い場合は『医療費集計フォーム』の利用が便利

具体的な手順は以下の通りです。

  1. 医療費控除の明細書には、治療内容、日付、医療機関名、金額を正確に記載
  2. 医療費控除の対象外となる費用はこの時点で除外する
  3. 健康保険組合等から届く医療費通知書も参考資料として使いながらまとめていく
  4. 明細書の合計金額を確定申告書に転記する
  5. 手書き・パソコンいずれでも作成できますが、e-Taxを使えば電子申告も選択可能

書類作成時にはミスを防ぐため、記載内容を必ず見直してください。特に金額や日付、医療機関名は確認を徹底しましょう。

提出前に、必要な書類がすべて揃っているかも再度チェックすることをおすすめします。

ステップ4:書類の提出

作成した確定申告書と医療費控除の明細書は、添付書類(本人確認書類や源泉徴収票など)と一緒に税務署へ提出します。提出方法は、以下の3通りです。

  • 税務署窓口へ直接持参
  • 税務署宛に郵送
  • e-Taxによるオンライン申告

提出期間は通常2月16日~3月15日です。医療費の領収書は提出しなくてもよいですが、後日の問い合わせに備え、手元で5年間保管しましょう。

ステップ5:還付金の受取

正しく申告が完了すると、数週間から1〜1.5ヶ月程度で還付金が指定口座に振り込まれます。住民税への反映は翌年6月以降です。

還付金の受取り方法は、以下の2通りです。

  • 指定した金融機関口座への振込
  • ゆうちょ銀行や郵便局での受取(希望した場合のみ)

ただし、所得税や住民税がすでに還付済の場合や、非課税の場合は還付金が発生しない可能性もあります。申告後は入金状況や住民税通知も確認しましょう。

まとめ

審美歯科で保険適用外の自由診療であっても、インプラントや噛み合わせ改善の矯正など、治療が目的であれば医療費控除の対象です。

一方で、ホワイトニングなど美容のみを目的とした施術は対象外となるため、注意しましょう。まずは歯科医師に治療目的を確認し、賢く制度を活用してください。

千歳烏山やの歯科では、なるべく削らない・抜かない・痛みの少ない治療を心がけ、患者さま一人ひとりの話をよく聞き、ご一緒に治療計画を立てることを徹底しています。

医療費控除の対象となる審美歯科治療についても、治療目的を明確にした適切な診療計画を提案いたします。

お子様から高齢者まで、ご家族皆様で安心して通っていただけるアットホームな歯科医院を目指しています。まずは、お気軽にご相談ください。

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