セラミックとジルコニアの違いは?強度・透明感・価格を徹底比較

セラミック ジルコニア 違い

歯科治療で使われるセラミックとジルコニアは、いずれも優れた素材ですが、ご自身に合うのはどちらか迷う方も多いでしょう。

これらの素材は、強度や見た目の美しさ、費用などが異なるため、治療部位やご自身の希望に合わせて選ぶ必要があります。

この記事では、セラミックとジルコニアそれぞれの違いについて詳しく紹介します。

セラミックとジルコニアの違い

セラミック ジルコニア 違い

セラミックとジルコニアは、主成分や製法、特性が異なる素材です。ここでは、7つの観点からそれぞれの違いを詳しく解説します。

セラミックジルコニア
成分・製法ガラス質やリチウム系ガラスセラミック等を多層築盛二酸化ジルコニウムを高温焼成した高い耐久性のセラミック
曲げ強度約360~410MPa約900~1,300MPa
透明性・審美性天然歯に近い高透光性/多層築盛で自然な色調再現が可能単色ブロックは不透明だが、ステイニング技術で透明感向上中
変色・劣化表層ガラス質ゆえに経年でわずかな着色リスクあり酸・摩耗に強く長期で色調安定
生体親和性・アレルギー金属不使用で金属アレルギーリスクなし人工関節にも使用される高い生体親和性・メタルフリー
適用部位前歯・小臼歯(審美重視部位)奥歯・ブリッジ(高負荷部位)、歯ぎしり患者も対応可
費用自費9万~15万円/本自費7万~12万円/本

成分・製法の違い

セラミックとジルコニアの違いは、主成分と製造方法にあります。

まず、セラミックはガラス質を主体とした歯科技工用陶材で、何層にもわたり積み重ねて色や質感を細かく再現可能です。

一方、ジルコニアは二酸化ジルコニウムを高温で焼結した『酸化物系ファインセラミックス』に分類され、CAD/CAMでブロックから削り出されます。

両方とも人工歯素材として高く評価されていますが、根本的な化学組成と形成手法が異なるため、それぞれの特徴や適用範囲も大きく分かれます。

  • セラミック:ガラス質やリチウムディシリケートなどを主とし、複数層を積み重ねて色調を再現
  • ジルコニア:二酸化ジルコニウムを焼結し、一塊から削り出すため均質で強度に優れる

セラミックは前歯など審美性が求められる部位に適している一方、ジルコニアは高い強度が求められる奥歯やブリッジなどに適用されるケースが多いです。

強度・耐久性

補綴素材において強度や耐久性は非常に重要なポイントです。

ジルコニアは1,000MPaを超える高い曲げ強度があり、奥歯やブリッジなど咬合圧が特に強い部分でも割れにくい特性があります。

セラミックは天然歯に近い硬度(約400MPa)で、自然な噛み心地ですが衝撃にやや弱く、奥歯では破損や欠けが生じる可能性も考えられます。

  • セラミック:曲げ強度約360~410MPa、自然な硬さで歯への負担が少ない
  • ジルコニア:曲げ強度約900~1,300MPaの超高強度、咬合力の大きい部分でも使用可

ジルコニアは強度面で優れているため、歯ぎしりや食いしばりが強い人にも推奨されていますが、あまりに堅いため、対合歯への摩耗リスクが指摘される場合があります。

審美性(透明感・色調)

前歯のような目立つ部分では、透明感や色調の再現性が素材選びの決め手となります。

セラミックはガラス質が多層に積み上げられ、自然な色合いや透明感、光の透過感が高く、天然歯に極めて近い美しさを実現できます。

ジルコニアも近年、ステイニング技術や高透光グレードの進化により、透明感が向上しましたが、やや不透明な印象です。

  • セラミック:多層築盛による高い透明度で天然歯と見分けがつかない色調を再現可能
  • ジルコニア:ブロックから削り出すためやや不透明だったが、近年高透光タイプで改善

審美面を最優先したい場合はセラミックが最適ですが、ジルコニアも改良が進み選択肢が増えています。前歯の色馴染みやライトの反射感には繊細な表現力が重要です。

変色・経年安定性

人工歯素材である以上、長期間の色調安定性や経年劣化への強さも重視すべきです。

ジルコニアは酸や摩耗に非常に強く、長時間経過しても変色や黄ばみが起こりにくい素材です。

一方、セラミックも表面のガラス質によって汚れが付きにくいものの、数年以上の利用でわずかに着色する場合があります。

  • セラミック:表面ガラス質により汚れが付着しにくいが経年で着色リスクあり
  • ジルコニア:酸や摩耗に非常に強く、長期使用でも色調の変化が起こりにくい

どちらも日常のメンテナンス次第では十分な美しさを保てますが、ジルコニアの方が長期安定性ではやや優位です。

ただし、研磨や表面処理の質により結果が左右されるため、クリニックの技術も選択肢の重要な基準となります。

生体親和性・アレルギー

セラミックとジルコニアの両素材とも金属を一切含まないメタルフリー素材であるため、金属アレルギーのリスクは皆無といえます。

従来の歯科治療で使用されていた金属は、唾液によって溶け出した金属イオンが体内で異物反応を起こし、口腔内の炎症や全身にわたる皮膚症状を引き起こすことがありました。

しかし、セラミックやジルコニアを選択すれば、金属アレルギーによるトラブルを回避できます。

  • セラミック:金属を一切含まないため金属アレルギーの心配がなく、審美性と生体親和性を両立
  • ジルコニア:人工関節にも使用される高い生体親和性を持ち、表面の酸化皮膜が非常に安定している

特にジルコニアは人工股関節のほか、歯科用インプラントや脊椎固定用インプラントにも長年使用されています。

ジルコニアは表面の酸化皮膜が化学的に非常に安定しているため、唾液に溶け出すことがありません。

そのため、金属イオンとして体内に吸収されることがなく、アレルギー反応を引き起こす心配は不要です。

適用部位・症例別使い分け

セラミックとジルコニアは、それぞれ異なる特性を持つため、治療部位や患者さんの症状に応じて適切に使い分けることが重要です。

前歯と奥歯では求められる機能と審美性のバランスが大きく異なるため、素材選択の基準も変わってきます。

  • セラミック:前歯や小臼歯など審美性が重視される部位に適している
  • ジルコニア:奥歯やブリッジなど噛む力がかかる部位に適している

前歯は笑ったときに最も目立つ部位であるため、天然歯のような透明感と自然な色調を再現できるセラミックが適しています。

一方、奥歯は食べ物を噛み砕く重要な役割があり、強い力がかかる部位のため、強度に優れるジルコニアが推奨されます。

歯ぎしりや食いしばりの習慣がある患者さんの場合、セラミックでは破損リスクが高くなるため、ジルコニアの選択が安全です。

ただし、歯ぎしりが強い場合はジルコニアを使用してもナイトガードの併用が推奨されています。

費用・保険適用状況

セラミックとジルコニアの治療費は、いずれも基本的に自由診療となり、保険適用外のため全額自己負担です。

健康保険が適用される基準は『機能回復を目的とした必要最低限の治療』と規定されているため、審美性の高い治療は保険適用外となります。

  • セラミック:詰め物40,000~90,000円程度、被せ物90,000~150,000円程度の費用相場
  • ジルコニア:詰め物55,000~65,000円程度、被せ物66,000~150,000円程度の費用相場

歯科医院によって料金設定は異なりますが、一般的にジルコニアの方がやや安価な傾向にあります。

セラミック・ジルコニアが向いているケース

セラミック ジルコニア 違い

セラミックとジルコニアはいずれも現在主流の歯科用素材ですが、それぞれ特徴や得意分野が異なります。

どちらを選ぶべきかは、『どこの歯を治療するか』『見た目の美しさを優先したいか』『咬む力が強いか』など、ご自身の希望や生活習慣によって決まります。

セラミックが向いているケース

セラミックは、見た目の美しさや仕上がりの自然さに強くこだわる方に特におすすめです。

例えば、歯の微妙な色あいにこだわりたい場合や、周囲の歯との調和を重視したい場合に適しています。

前歯や人目につきやすい場所は、印象を大きく左右するため、より繊細な審美性を求める方には大きなメリットがあります。

  • 周囲の歯となじむ自然な仕上がりを重視したい
  • 前歯や笑ったときに見える部分の美しさにこだわりたい
  • 光沢や透明感を細部まで求める
  • 目立つ部分の装着を希望している

天然歯に近い質感を実現するため、写真などで口元がアップになる機会が多い方にも高く評価されています。

ただし、強い力がかかる部位や歯ぎしりの癖がある方は、事前に歯科医院でよく相談しましょう。

ジルコニアが向いているケース

ジルコニアは、耐久性や長持ちする素材を重視したい方に向いています。特に、奥歯やブリッジなど日常的に強い力がかかる部位には、ジルコニアがおすすめです。

近年は見た目も改善されていますが、『丈夫さ』や『コストパフォーマンス』を重要視する方からの支持が高まっています。

  • 奥歯やブリッジなど力がかかる部分をしっかり補いたい
  • 歯ぎしりや食いしばりの習慣がある
  • メンテナンスしやすい素材を選びたい
  • 長期間安定した状態を保ちたい
  • 強さと費用対効果を両立させたい

ジルコニアは、強度だけでなく摩耗や経年劣化にも優れているため、日常の食事や生活習慣で負荷のかかりやすい方に最適です。

また、歯ぎしりや食いしばりの癖がある場合、従来の素材よりもトラブルが少ない傾向があります。

目立つ箇所にはセラミック、負荷が大きい部位にはジルコニアと部位ごとに使い分けると良いでしょう。

まとめ

セラミックとジルコニアは、どちらも優れた素材ですが、審美性を最優先するならセラミック、強度や耐久性を求めるならジルコニアと、それぞれ得意な分野が異なります。

例えば、前歯には自然な見た目のセラミック、奥歯やブリッジには丈夫なジルコニアといった使い分けが考えられます。

自分に合った素材を選ぶためには、まず歯科医院に相談し、専門的なアドバイスを受けることから始めましょう。

千歳烏山やの歯科では、患者さまお一人おひとりの話を聞き、口腔内の状況に合わせた最適な治療計画を提案しています。

できるだけ削らない・抜かない・痛みの少ない治療を心がけ、最新の滅菌システムと拡大鏡を駆使した精密な治療を提供します。些細なことでもお気軽にご相談ください。

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