セラミック歯のデメリットは?知らないと後悔する4つのリスクと対策

美しい見た目と耐久性を求めてセラミック治療を検討する方が増えていますが、思わぬデメリットや後悔につながるリスクは少なくありません。
セラミック治療には、割れやすい・費用が高額・歯を多く削る・定期的なメンテナンスが必要といったデメリットが存在します。
ただし、事前にデメリットの存在を把握し対策を行えば、トラブルや再治療のリスクを軽減でき、長期的な満足度も高められます。
この記事では、セラミック治療の主なデメリット4つと解決策を具体的に解説します。
セラミックのデメリット①|衝撃に弱く割れやすい

セラミック治療は自然な白さが魅力ですが、硬いゆえに衝撃が一点に集まると破損しやすいというデメリットがあります。
ここでは、割れるメカニズムと食習慣や歯ぎしりへの対策、寿命を延ばすコツを具体例と共に解説します。
セラミックが割れやすいと言われる理由
セラミックは見た目が自然で美しいため、多くの方が選択していますが、「割れやすい」と言われることが少なくありません。
その理由は、セラミックという素材自体がとても硬い反面、一点に強い力がかかるとひび割れや破損が生じやすいためです。
日常生活のなかでは、固い物を噛んだときや予期しない衝撃が加わった際、セラミック部分が耐えきれなくなる場合があります。
長持ちさせるためには、日頃から過度な力を避け、歯科医院で噛み合わせや全体のバランスを調整してもらうことで、セラミックの寿命を延ばせます。
硬い食べ物がセラミックに及ぼすダメージ
セラミックは自然な色合いを保ちやすい一方、硬い食べ物によって小さなひび割れ(マイクロクラック)が蓄積しやすい素材です。
そのため、日常的に以下のような行為を繰り返すと、破損リスクが高まります。
- 氷を割るようにかじる
- ナッツ類(アーモンド、クルミなど)を丸かじりする
- 骨付き肉や固いパン(フランスパンなど)を歯で裂く
これらの行為では、一点に強い圧力が集中し、セラミック表面に小さな傷がつきます。
初めは目に見えにくいものの、繰り返すことでひびが深くなり、最終的に欠けや割れに至るケースが少なくありません。
対策としては、硬い食材を以下のように工夫しながら楽しむことが有効です。
- 食材を小さくカットしてから食べる
- 氷を歯で割らない
- 骨付き肉はナイフで骨から外す
これらの工夫を日常に取り入れることで、セラミックへの負担を抑え、長持ちさせることができます。
歯ぎしり・食いしばりがセラミックに与える影響
セラミックの歯を長持ちさせるために注意したいのが、睡眠中の歯ぎしりや無意識の食いしばりです。
これらのクセがあると、毎晩何十キロもの力が同じ歯に集中し、強い負担がかかります。
強い圧力が繰り返されることで、セラミック部分が割れたり、外れたりしやすくなってしまいます。
特に、日中無意識に上下の歯を強く噛みしめる、夜間口を閉じたままギシギシと歯ぎしりをしてしまう人は注意が必要です。
表面に細かなヒビが入るだけでなく、セラミックと接着している部分にも負担がかかりやすくなります。
セラミックの破損を防ぐ対策には、専用のマウスピース(ナイトガード)を使用すると良いでしょう。
セラミックのデメリット②|費用が高額

セラミック治療は見た目や衛生面に優れている一方で、費用が高くなるというデメリットがあります。ここでは、高額な費用の背景と相場について詳しく解説します。
セラミック治療は保険適用外
セラミック治療が高額になる大きな理由は、保険適用外の自費診療であるためです。
国の保険制度では、病気を治すために行う必要最低限の治療のみが保険対象となり、審美性を重視するセラミック治療は必要最低限を超えた治療と見なされます。
保険が適用される銀歯やレジンでも、機能回復には十分対応できるため、より高品質な治療を求めるセラミック治療の場合は全額自己負担となる仕組みです。
保険診療では3割負担で済むところを、セラミックでは100%自己負担となるため、同じ被せ物(クラウン)でも数千円から数十万円の差が生まれます。
歯科医院ごとに自由に価格設定でき、費用相場にも幅があるため慎重な検討が必要です。
高品質な材料費と製造コストの内訳
セラミック治療が高額になる大きな要因は、素材そのものの価格と専用設備のコストが重なるためです。具体的には、以下のような項目が費用に反映されています。
- ジルコニアやe-max(ニケイ酸リチウムガラス)などの高級セラミック素材
- 専用の削り出し機(CAD/CAMシステム)や高温焼成炉
- 高精度スキャナーと設計ソフトによるデジタルワークフロー
- 保険適用外の型取り材料や接着セメント
これらの設備投資と材料費は、保険診療で使われる銀歯やレジンよりも数倍から数十倍のコストがかかります。
例えば、ジルコニア製のクラウン1本には素材費だけで数万円が必要となり、さらに技工所での加工・焼成工程を経ることで、最終的な治療費に影響します。
このように高品質を追求するほど、材料費と製造コストが治療価格を押し上げる構造です。
セラミック治療の具体的な費用相場
実際のセラミック治療費は、素材や治療箇所によって異なります。
費用をあらかじめ把握しておくと、治療後に予想外の出費に悩まされるリスクを減らせます。以下は主なセラミック素材ごとの費用相場例です。
セラミック素材 | 詰め物(インレー)相場 | 被せ物(クラウン)相場 | 特徴 |
オールセラミック | 6万~8万円 | 8万~22万円 | 透明感が高く、自然な見た目 |
ジルコニア | 4万~6万円 | 10万~20万円 | 強度が高く奥歯に適する |
e-max | 4万~6万円 | 7万~10万円 | 透明感があり、前歯におすすめ |
メタルボンド | ー | 8万~15万円 | 金属フレームにセラミックを焼き付けた構造 |
セラミック治療は自由診療のため、都心部ではさらに高額となるケースが多く、前歯6本の治療で100万円を超える場合もあります。
歯科医院ごとに価格や保証内容も異なるため、事前の見積もり確認が不可欠です。素材や仕上がりだけでなく、見積書の内訳や追加費用の有無まで細かくチェックしましょう。
セラミックのデメリット③|歯を削る量が多い

セラミック治療は美しい仕上がりを実現する一方で、歯を削る量が多いという大きなデメリットがあります。
ここでは、削る理由から将来への影響、削らない治療法まで詳しく解説します。
健康な歯まで削る必要があるのはなぜ?
セラミック治療では虫歯の部分だけでなく、健康な歯質も削る必要があります。最も重要な理由は、セラミックの耐久性を確保するために一定の厚みが必要だからです。
特に被せ物(セラミッククラウン)の場合、セラミック自体の厚みがないと衝撃に弱く割れやすくなるため、歯を削る量が多くなります。
また、もともと歯が暗い色だったり色むらがある場合は、健康な歯を削ってきれいな色にしてからセラミックを被せる必要があります。
さらに、セラミックと歯の密着性を高めて外れにくくするためにも適切な土台が必要です。治療方法によって削る量は異なりますが、一般的な量は以下の通りです。
- セラミッククラウン:歯全体を1.5~2mm程度
- セラミックインレー:1mm程度
これらの削る量は、セラミックの強度と機能を確保するために避けて通れない処置といえます。
歯を削ることで起こるリスクと将来への影響
セラミック治療では歯を削る量が多いため、以下のようなリスクが生じやすく、将来的にも注意が必要です。
- 歯は一度削ると元に戻せない
- 薄く弱い状態になるため耐久性が低下し割れやすくなる
- 知覚過敏になりやすい
- 歯髄炎と根管治療のリスク
- 二次虫歯の発生
- 被せ物の保持力低下
これらのリスクを軽減するには、歯科医院での精密な削合と、定期的な検診・メンテナンスが欠かせません。また、削る量を抑えられる治療法を検討することも重要です。
削る量が少なく済むセラミック治療の選択肢はある?
歯をできるだけ削らずに美しくしたい方には、ダイレクトボンディングがおすすめです。
ダイレクトボンディングとは、歯をほとんど削らず(0.1mm程度)高品質なセラミック粒子を含んだレジン(樹脂)を直接盛り付けて形を整える治療法です。
従来の被せ物のように歯を大きく削る必要がなく、削る量を抑えられます。
- 健康な歯質をほとんど残せる
- 治療回数が1回~2回と短期間で終わる
- 欠けやすい前歯のすき間やちょっとした色・形の修正に対応できる
- 費用も被せ物より比較的抑えられる
ダイレクトボンディングは、特に以下のケースで有効です。
- 歯と歯のすき間が気になる
- 前歯の一部が欠けてしまった
- 表面の色ムラや小さな虫歯を自然に修復したい
一方で、歯の色や形を大幅に変えたい場合には適さず、広い範囲の審美的な改善や長期的な強度を最重視するケースでは十分な効果を得にくい場合があります。
削る量や通院回数、費用負担を最小限に抑えたい方に向いている治療法といえます。
セラミックのデメリット④|定期的なメンテナンスが必要

セラミック治療を受けた後は、美しい仕上がりを維持し、長期的に問題なく使い続けるために定期的なメンテナンスが欠かせません。
ここでは、メンテナンスが必要な理由や頻度、内容、長期的な負担まで詳しく解説します。
セラミック自体は虫歯にならないが周囲にリスクがある
セラミックの大きな特徴の一つは、材質そのものが虫歯にならないことです。
セラミックは陶器と同じ素材で作られているため、虫歯菌に侵されることはありませんが、天然歯との境界部分や土台となる歯は天然歯質のため、虫歯になる可能性があります。
特に問題となるのは『二次虫歯(カリエス)』です。これは、セラミックと歯の境目から細菌が侵入し、内部で虫歯が進行する状態を指します。
二次虫歯は表面から見えにくく、患者さま自身では気づきにくいため、定期的な歯科検診での早期発見が重要です。
メンテナンスを怠ると、セラミックと歯茎の境目にプラークや歯石が蓄積し、歯周病のリスクも高まります。
歯周病が進行すると歯茎の退縮が起こり、セラミックとの間に段差ができて、さらに汚れが溜まりやすくなるため注意しましょう。
セラミック特有のメンテナンス項目
セラミック治療後は、セルフケアだけでは届かない箇所を専門家がチェックし、長持ちをサポートするメンテナンスが必要です。
メンテナンス項目 | 内容・目的 |
セラミック状態チェック | 欠けやひび割れ、着色、表面のツヤの維持状態を確認 |
接着部分の確認 | セラミックと歯の境界部の段差や隙間、外れかけがないかを検査 |
プロフェッショナルクリーニング(PMTC) | セラミック専用の研磨剤で汚れや歯石、バイオフィルムを除去し、表面を傷付けず清掃 |
噛み合わせの確認 | セラミックの高さや接触点を調整し、特定箇所に強い力がかからないか確認 |
X線写真などでの内部チェック | 目視できない虫歯や根の状態、土台歯の異常を発見 |
このような多角的なメンテナンスは、見た目の美しさを保つだけでなく、トラブルの早期発見にも役立ちます。
セラミック部分は目立った欠けや割れだけでなく、細かなヒビや接着不良、微妙な噛み合わせの変化が将来的な破損につながるため、定期的にメンテナンスを受けることが大切です。
特にPMTC(プロフェッショナルクリーニング)は、普段の歯磨きでは落としきれない細かな汚れやバイオフィルムを落とせるため、虫歯や歯周病リスクの低減に効果的です。
さらに、交換や再治療を防ぐためにも、噛み合わせやセラミックと歯の境界部のチェックは必須といえます。
まとめ
セラミック治療は、デメリットを正しく理解し対策を講じることが後悔しないための重要なポイントです。
『割れやすい』『費用が高い』『歯を削る量が多い』『メンテナンスが必須』といったリスクは、避けられないものではありません。
納得のいく治療を選ぶため、まずは専門家に相談し、不安や疑問を解消しましょう。
千歳烏山やの歯科は、拡大鏡を使った精密治療とGBT予防で、なるべく削らない・抜かない方針を徹底しています。
土曜17時まで診療しているため、忙しい方も通いやすいです。セラミックについて不安がある方も、一度カウンセリングでご相談ください。