マイクロスコープを使った歯科治療は保険適用?おすすめの理由を解説!
歯科治療にマイクロスコープを使った場合、限られた治療以外では保険適用外の自由診療となります。
現段階でマイクロスコープを使った歯科治療が保険適用内になるのは、歯根端切除術と大臼歯根管治療の2つのみです。
保険適用内の治療でマイクロスコープを使用する歯科医はわずかにありますが、自由診療時のみで使用する歯科医院が多いため、全額自己負担になる可能性も視野に入れましょう。
しかし、保険適用外でも歯科治療にマイクロスコープを使ったほうが良い理由があるため、治療費だけでなく、総合的な判断で検討してください。
この記事では、マイクロスコープを使った歯科治療の保険適用範囲、自由診療でも治療がおすすめな理由、マイクロスコープによる歯科治療を検討すべき方を解説します。
マイクロスコープ歯科治療の保険適用について
歯科治療において、マイクロスコープを使用するケースは限定的です。
導入費用の高さや治療時間などの問題から、保険適用外となる自由診療のみで使用する歯科医院も少なくありません。
そのため、マイクロスコープを使った歯科治療を受ける際は、全額自己負担となるケースがほとんどです。
ただし、歯科医院の治療方針によっては保険適用内の治療でマイクロスコープを使用する場合もあるため、設備の有無や使用の判断を事前に確認しておくとよいでしょう。
例えば、根管治療においては再発を防ぐ意味でもマイクロスコープの使用が適していますが、自由診療となった場合は患者さまの費用負担が大きく増えてしまいます。
一方で保険適用内の治療にマイクロスコープを使った場合、患者さまから費用をいただかずに治療するため、歯科医院側の負担が上がってしまいます。
しかし、根管治療においてもマイクロスコープ使用の必要が認められ、2020年4月の保険改定により、一部の治療に限り保険適用でも治療が可能になりました。
具体的には、以下の歯科治療でマイクロスコープが保険適用となります。
- 歯根端切除術
- 大臼歯の根管治療
歯根端切除術とは、根管治療による外科的アプローチの一種で、歯根の先端をカットすることで細菌への再感染を防ぐ治療です。
根管治療を施すほど状態が悪くなった歯は歯根の部分から再び細菌に感染しやすく、放置すると歯を土台ごと失うリスクが高まります。
また、大臼歯は根管が多いうえに複雑に張りめぐらされており、根管治療が難しいと考えられています。
噛み合わせのうえでも重要な役割を果たしており、虫歯や細菌感染のリスクが高い歯です。現時点では保険適用となるマイクロスコープを使った歯科治療は限定されています。
保険適用外でも歯科治療にマイクロスコープを使ったほうが良い3つの理由
マイクロスコープを使った歯科治療は、歯科医院によって保険適用外になりますが、それでも歯科治療にマイクロスコープを使った方が良い理由があります。
ここでは、3つの理由を詳しく解説します。
治療の精度が高い
マイクロスコープを使った歯科治療の最大のメリットは、治療精度の高さです。
従来の歯科治療では、肉眼で捉えられないような部分の治療は、歯科医の感覚や経験に頼った治療が行われていました。
しかし、マイクロスコープであれば、視野を20倍近くまで拡大しながら患部を照らせるため、従来よりも精密な検査や治療が可能です。
患部の削り残しや削りすぎを防ぐだけでなく、目視では確認できなかった根管の細部にある感染源を特定できるため、歯科治療の成功率もアップします。
また、視野の拡大によって従来発見が難しかった微小なヒビも発見できるようになるため、治療の幅が広がります。
治療の幅が広がることで、従来の歯科治療では抜歯を余儀なくされていた場合でも抜歯を避けられるケースも少なくありません。
治療期間の短縮になる
歯科治療にマイクロスコープを使った場合、細かな治療が必要になるため、1回の治療時間が長くなってしまいます。
しかし、自由診療による長時間の精密な治療は、結果的に治療終了までの治療期間の短縮にもつながります。
例えば、保険適用内の治療では、1回20分ほどの治療を4~5回ほど繰り返し、患部の治療に3か月近くかかることも少なくありませんでした。
一方、保険適用外の歯科治療でマイクロスコープを使う場合、1回の治療で60分近い時間をかけて治療するため、場合によっては2~3回ほどの来院で治療が終了します。
治療期間の長期化は細菌が繁殖するリスクが高まり、再発する可能性が高くなりますが、マイクロスコープを使うことで治療期間の短縮と再発リスクが抑えられるでしょう。
被せ物や詰め物の適合性が高い
歯科治療にマイクロスコープを使うことで、歯を削ったあとに付ける被せ物や詰め物の適合性が高まります。
被せ物や詰め物を付けたあとは、歯との段差やすき間がなくなるように調整しますが、目視では歯科医の感覚に頼るため、段差が残っていたり、すき間ができることもあります。
被せ物や詰め物の段差やすき間には、食べかすや歯垢が溜まり、細菌が繁殖しやすい環境となるため、虫歯リスクが高まります。
一方、被せ物や詰め物を調整する際にマイクロスコープを使うことで、より細かく段差やすき間を調整できるため、細菌の侵入を防ぎ、虫歯リスクを抑えられます。
マイクロスコープによる歯科治療を検討すべき方
以下に該当する方は、歯科治療においてマイクロスコープの使用がおすすめです。
- 根管治療の再発が多い方
- 抜歯による歯科治療を避けたい方
- 術後の痛みや腫れを軽減したい方
ここでは、マイクロスコープを使った歯科治療を検討すべき人を解説します。
根管治療の再発が多い方
根管治療後の再発が多い方は、マイクロスコープを使った治療をおすすめします。
根管治療では、歯の内部にある根管の先までしっかり消毒し、細菌の繁殖を防ぐことが大切です。
しかし、根管の先は非常に細くなっているため、再発の原因となる細菌を完璧に除去できない場合もあります。
細菌の取り残しがあった場合は、再び細菌が繁殖して再発の可能性が高まるでしょう。
一方で根管治療にマイクロスコープを使えば、根管の細かい部分までの検査や治療が可能となり、再発の原因となる細菌を徹底的に除去可能です。
抜歯による歯科治療を避けたい方
抜歯を避けたい方にも、マイクロスコープを使った歯科治療はおすすめです。
歯科治療では、虫歯が重症化すると抜歯を余儀なくされるケースがあります。抜歯した歯は二度と生え変わることはないため、将来を考えると大きなリスクです。
しかし、歯科治療にマイクロスコープを使うことで、抜歯という最悪の事態を回避できる可能性があります。
マイクロスコープによって視野を最大限拡大すると、肉眼では分からなかった原因の特定が可能になる場合があり、抜歯ではない治療の選択肢が広がります。
ただし、歯科治療にマイクロスコープを使ったからといって必ずしも抜歯を回避できるわけではありません。抜歯以外の選択肢を見つけるための手段として考えておきましょう。
術後の痛みや腫れを軽減したい方
術後の痛みや腫れを少しでも軽減したい方は、マイクロスコープによる歯科治療を検討しましょう。
虫歯の歯科治療では歯を削りますが、目視の場合は歯科医の感覚に頼る部分もあるため、必要な部分よりも大きく歯を削ってしまう場合があります。
その点、マイクロスコープを使った歯科治療であれば、拡大した視野によって患部をピンポイントで治療できるため、削る部分が少なくて済みます。
また、歯茎の切開に関しても傷口を最小限に抑えられるため、術後の痛みや腫れを抑えた治療が可能です。
さらに、傷口を縫合する糸も目視での治療よりも細いものを使えるため、術後の回復速度のアップにも期待できます。
保険適用外の場合はセカンドオピニオンの検討がおすすめ
マイクロスコープを使った歯科治療は、保険適用外のみと言われてしまうケースも少なくありません。
保険適用となるマイクロスコープの歯科治療は一部に限定されてしまうため、保険適用で使用するかどうかは歯科医院の治療方針にゆだねられます。
もちろん、自由診療となれば治療費の負担額が増加するため、無理に治療を決定する必要はありません。
保険適用内でマイクロスコープを使った歯科治療を受けたいのであれば、セカンドオピニオンとして他の歯科医院を検討するのがおすすめです。
原則自由診療となるマイクロスコープを使った歯科治療ですが、保険適用内で使用してれる歯科医院もあります。
ホームページで設備の有無を確認し、保険適用内で治療を受けられるか相談してみましょう。
まとめ
マイクロスコープを使った歯科治療が保険適用になるのは、歯根端切除術と大臼歯根管治療の2つであるため、多くの歯科医院では自由診療で行われます。
自由診療の場合は治療費が高くなりますが、治療精度の高さ、治療期間の短縮、術後の負担軽減など、マイクロスコープを使った歯科治療にはさまざまなメリットがあります。
また、保険適用内の歯科治療でマイクロスコープを使うかどうかの判断は、歯科医院ごとに異なるため、事前に設備の有無や使用の判断、費用を確認しておくとよいでしょう。
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